アルプス越えの帰郷 ― 2018年06月24日 17時15分
白馬岳から雪倉岳を経て朝日岳まで縦走し、朝日小屋に一泊して富山県側の北又に下山するコースです。距離はそこそこありますが、お花畑に高層湿原と高度による植生の変化も楽しめます。
ほとんどの人たちは三国境を右折して白馬大池方面に向かうので、人も少ない静かな山旅が楽しめます。朝日岳のさらに先には、親不知(日本海)まで稜線を縦走する「栂海新道」という長大な登山コースも存在します。
三国境の道標。白馬大池へはここを右に曲がりましたが、雪倉岳、朝日岳方面へはそのまま直進します。すぐに鉢ヶ岳に向けて高度を下げて行きます。白馬大池方面とは違い登山者が少ないので、静かな山行が楽しめます。
三国境より、これから目指す方向を望む。左の山が鉢ヶ岳で、中央が雪倉岳、その背後にはこの日の目的地、朝日岳と朝日小屋が見えています。
鉢ヶ岳は、東斜面(新潟側)を巻くようにして通過します。
鉢ヶ岳の斜面に広がるお花畑。ハクサンイチゲやシナノキンバイなど斜面いっぱい咲き誇っています。
この辺りが、蓮華温泉方面に向かう鉱山道の分岐点です。
その年にもよりますが、2、3箇所残雪を渡る場所がでてきます。アイゼンを付けるほどではないですが、滑落することがないように慎重に進みます。登山道はベンガラでマークされていますが、分かりにくいところもあるので、道に迷わないように注意が必要です。
鉢ヶ岳と雪倉岳の鞍部にある雪倉岳避難小屋。中にはトイレもあり、普通に泊まれそうですが、緊急時以外は宿泊不可のようです。
朝日小屋のスタッフの方達が管理されています。
ここから雪倉岳の登りになります。二重稜線の片側を登っていきます。
急斜面はなく歩きやすい道なので、それほど消耗することなく山頂に到着できます。雪倉岳は日本二百名山です。右側がスタートの白馬岳、正面に見えている山は小蓮華山。
雪倉岳山頂から見た白馬岳と旭岳、その右側は清水岳。
雪倉岳を後にして登山道を進むと、朝日岳が目の前に現れます。ここから高度を下げていくと、ほどなく樹林帯に突入します。
左側に黒部川と日本海が見えています。
小桜ヶ原の湿原地帯。名の通り、ところどころにハクサンコザクラが咲いています。正面に見える山が朝日岳。
湿原には、池塘が点在しています。季節によっては水芭蕉も見れます。
この先には、水場もあります。
水平道と山頂方面の分岐点。水平道は、残雪が多いと通行禁止になっていることがあるので、事前に情報を収集しておいた方が安心です。
水平道といっても決して平坦ではありません。巻道ではありますがアップダウンが激しく、名前を信じて行くと後悔することに。翌日、蓮華温泉方面に行くなら水平道でよいのですが、目的地が北又の場合は、ここから山頂方面を目指します。水平道は木道を直進、山頂方面は右側。
山頂コースはスタートから一気に高度を上げて行きます。前半は強烈な急登が続くので体力の消耗が激しいですが、登り切ってしまえば、お花畑に囲まれた緩やかな道になります。新潟側から回り込むように山頂を目指します。
山頂が近づくと木道が出現します。ここが日本海まで縦走する栂海新道と蓮華温泉方面の分岐点です。いつかは試してみたいものですが。
一日で日本海から朝日岳まで登ってきた強者を知っています。
北アルプスの最北端、朝日岳山頂に到着。広くなだらかな山頂です。日本三百名山でもあります。
私の故郷から見るとすごい存在感を放っている山です。
地元の中学生は、学校行事でこの頂を目指して登るようです。
朝日岳山頂からの眺望。スタート地点の白馬岳と先ほど登った雪倉岳が雲に飲み込まれそうになっています。
山頂から40分ほど下ると、朝日小屋に到着します。白馬岳から遥か彼方にい見えていた三角屋根がもう目と鼻の先です。本日の宿泊場所。
名物小屋番の清水ゆかりさんのいる山小屋。ここの食事は最高に美味しいです。ご飯は富山県産のコシヒカリを使い、地の食材を活かした料理は、山小屋のものとは思えないほど完成度が高いです。
翌日、出発前の朝日小屋です。北又コースは最短で下山できるコースですが、どちらかというとマイナールートです。富山県民にとってはメインルートなのですが。ひとつ問題があって、北又からの交通機関はタクシーしかありません。小川温泉から先は、自家用車は入れずタクシーだけが乗り入れ可能なのです。仮に北又から小川温泉まで歩くと4時間ほどかかってしまいます。(熊も出没) タクシーをひとりで呼ぶと、最寄りの泊駅まで1万円ほどかかります。そこで、朝日小屋で北又方面に下山する人を探しておくのがポイントです。それと、人数限定ではありますが、タクシー代に助成金制度があります。二人乗車なら4千円、四人乗車なら一人頭、千五百ほどで乗車できます。
朝日小屋から少し進んだあたりに広がる夕日ヶ原。日本海に沈む夕日が望めることから付いた名とのことです。眼下に故郷の黒部川扇状地が見えています。
故郷の町を望遠レンズで。黒部川扇状地と海岸線が見えます。子供の頃、この町から山を眺めて憧れを抱いていました。
左手には、以前に登った我が町の最高峰、負釣山も見えています。
これから向かう、イブリ山の山頂部
この眺めもここでおしまし。この先は樹林帯に入るので見れなくなってしまいます。剱岳と毛勝山??
この辺りは、登山道が崩落している場所とロープや鎖場が点在しているので慎重に進みます。
鎖で降りた地点からわずかに登り返せば、イブリ山山頂に到着します。イブリ山は、1〜10合目まで標識が打ってあるので、行程の目安になります。ここからは樹林帯を進みます。
五合目の広場。休憩場所にはもってこいです。ここから数分のところに水場があります。ここの水場は、冷たくて本当に美味しいです。沢までの道は滑落注意。
一合目を過ぎたあたりで、最終目的地の北又小屋が見えてきます。
この橋を渡ればゴールと思ったら...、急な登り階段があります。疲れた足には相当堪えます。
ゴールの北又小屋。一般車が入れる小川温泉まで、決して歩けない距離ではないですが、やはりタクシーを使ったほうがよいでしょう。
北又小屋からタクシーを呼べば、40分ほどで迎えに来てくれます。
北又小屋の管理人さんにタクシー助成金の旨を確認してみてください。泊駅まで行くとお風呂に入れないので、汗を流したければ、途中にある温浴施設「らくちーの」に立ち寄るのもよいかもしれません。
北アルプスを越えての里帰り。もっとも好きな登山コースです。
いろんな方との一期一会の出会い、山ならではの楽しい思い出が心に残ります。
コメント
トラックバック
このエントリのトラックバックURL: http://koji-matsukura.asablo.jp/blog/2018/06/24/8902220/tb
※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。
コメントをどうぞ
※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。
※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。